「結局どれ?」と、商品比較の相談で聞かれることがあります。ゆうちょ銀行と他行の普通預金を選ぶ場合も、表示された金利だけで結論を出す前に、その金利がいつから、どの条件で適用されるかをそろえることが出発点です。ゆうちょ銀行は金利改定を発表しているため、現行の利率と改定後の利率を分けて整理します。

ゆうちょ銀行は商品名と適用日から確認する

ゆうちょ銀行で普通預金に相当する商品は「通常貯金」です。金利一覧ではこの名称の欄を見ます。2026年10月26日付の金利一覧に表示された利率は年0.400%で、2026年11月9日からは年0.500%へ改定されます。いずれも税引前の年利率です。

通常貯金の金利は一律で表示されています。比較の際には、まずこの通常貯金を対象にし、他行の条件付き金利と混同しないようにします。また、改定後の金利は、すでに預けている通常貯金にも適用されます。日々の利子計算において、11月9日以降の分に改定後金利が使われるため、それ以前の期間まで年0.500%で計算されるわけではありません。

出典:ゆうちょ銀行「金利一覧」「貯金金利の引き上げに関するFAQ」。

通常貯金の利率は固定ではなく、金融情勢に応じて変わります。利子は1年365日の日割りで計算され、毎年3月31日と9月30日を区切りに元金へ加算されます。規定上の付利単位は10円で、円未満は切り捨てです。「年0.500%」は年率の表示であり、預けた時点から1年間その利率が続く約束とは異なります。

出典:ゆうちょ銀行「通常貯金規定」。

他行は標準金利と条件付き商品を分ける

他行の例として、三井住友銀行の普通預金の標準金利は、2026年10月25日現在で年0.400%です。セブン銀行の普通預金も、2026年10月18日現在で年0.400%と表示されています。セブン銀行は普通預金金利を変動金利としています。

三井住友銀行では、標準金利の普通預金とは別に、残高別金利型普通預金が掲載されています。この商品の利用には、SMBCポイントパックまたはOliveアカウントの契約が必要です。同じ銀行の普通預金でも、商品や契約条件を省いて利率だけを取り出すと、自分に適用される金利とのずれが生じます。

比較する順序は、標準金利を並べ、その後に利用できる条件付き商品を加える形が整理しやすくなります。上乗せ金利を見る場合は、対象残高や必要な契約も併せて書き留めます。

金利と基準日を一つの表で並べる

次の表は各行の公表値を整理したものです。公表基準日は異なるため、同一日の金利比較とは区別して読みます。ゆうちょ銀行の改定後金利も別の行に置き、将来の利率と他行の現行表示を直接比べない形にしています。

金融機関・商品 税引前年利率 公表基準日・適用開始日 比較上の区分
ゆうちょ銀行・通常貯金 0.400% 2026年10月26日現在 現行金利
ゆうちょ銀行・通常貯金 0.500% 2026年11月9日から 発表済みの改定後金利
三井住友銀行・普通預金 0.400% 2026年10月25日現在 標準金利
セブン銀行・普通預金 0.400% 2026年10月18日現在 普通預金の金利

出典:ゆうちょ銀行「貯金金利の引き上げについて」(2026年9月18日公表)、三井住友銀行「円預金金利」、セブン銀行「金利一覧」。

実際に預け先を決める段階では、各行の金利ページで適用日を読み直し、比較する時点をそろえます。改定が発表された銀行だけを新しい金利に置き換えても、その時点の他行との差が確定したことにはなりません。

年利率を税引後の受取額に直して比べる

預貯金の利息には、原則として所得税等15.315%と住民税5%、合計20.315%の税金がかかります。税引前年利率の差が、そのまま手元に残る金額の差になるわけではありません。

比較用の仮定として、残高100万円と金利が1年間変わらず、複利や端数処理を考慮しない場合を置きます。年0.400%なら税引後利息は約3,187円、年0.500%なら約3,984円です。これはそれぞれの利率で1年間計算した概算であり、改定をまたぐ期間の実際の受取額ではありません。

出典:国税庁「株式・配当・利子と税」。計算例は税率20.315%を用いた概算です。

同じ条件でそろえると、利率の大小だけでなく、預ける金額に対する受取額の違いが見えてきます。期間の途中で残高や金利が変わる場合は、期間を分けて考えます。

適用条件と預け先ごとの残高で選ぶ

選ぶ際は、比較日、商品名、対象残高、必要な契約を書き出し、その条件で受け取れる利息を比べます。契約条件を増やしたくない場合には標準金利同士の比較が合い、条件付き商品も検討する場合には、満たせる要件を確認したうえで比較対象に加える方法があります。表示上の最高金利だけで選ぶ方法は、適用条件を満たせない場合には合いません。

預ける金額については、預金保険の範囲も確認項目です。利息のつく普通預金などは、1金融機関につき預金者1人当たり、他の対象預金と合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。口座単位ではなく、同じ金融機関に預けた対象預金の合計で捉えます。

出典:預金保険機構「預金保険制度の基礎知識」。

比較する銀行をさらに増やす場合は、普通預金の金利ランキングを適用条件と利息の付き方から読む基準も整理の手掛かりになります。相談で伝えたい一言は、「金利の数字を選ぶ前に、その金利が自分の残高にいつから適用されるかをそろえる」です。