変動10年、固定型の個人向け国債、定期預金。

この三つを比べる際は、表示金利に加えて、お金を使う時期と途中で引き出す条件を並べると、選択の理由が明確になります。個人向け国債の変動10年は、10年満期ですが、原則として発行後1年を経過すれば中途換金できます。ただし、受け取った利子に相当する額の調整があります。

使う時期から、相談の論点を分ける

比較のため、「当面使わない資金があるものの、10年間保有するかは決めていない」という相談の類型を考えます。実在の相談者の体験談ではなく、条件を整理するための想定です。

検討する軸は、発行後1年間は使わずに置けるか、将来の利率の変化を受け入れられるか、途中で換金すると利息がどれだけ残るか、の三つです。満期が長いという理由だけで候補から外したり、初回の利率だけで将来の受取額を決めたりすると、商品の条件を捉えにくくなります。

金利は半年ごとの見直しと下限で比べる

財務省によると、変動10年の適用利率は「基準金利×0.66」を0.01%刻みに丸め、半年ごとに見直します。基準金利は10年固定利付国債の入札を基に計算した複利利回りで、初回分には募集開始日までの最後の入札が使われます。最低金利は税引前年0.05%で、上限はありません。

金利が上がれば適用利率も上がる可能性がある一方、下がる場合もあります。下限があることと、購入時の利率が続くことは別です。固定5年・固定3年は、発行時の利率が満期まで続きます。

出典:財務省「個人向け国債の金利について」

2026年10月募集分の金利と期間
商品 税引前年率 利率の適用期間 満期
変動10年 2.05% 初回分。以後半年ごとに見直し 10年
固定5年 2.39% 満期まで固定 5年
固定3年 2.07% 満期まで固定 3年

出典:財務省「現在募集中の個人向け国債」(2026年10月7日現在)、「固定5年第187回債」、「固定3年第197回債」

同じ条件でそろえると、この募集分では固定5年の年率が高いものの、期間は異なります。変動10年の2.05%は10年間の利回りを約束する数字ではなく、将来の受取利子の総額も購入時点では定まりません。

中途換金は「1年」と利子の控除を確認する

個人向け国債は原則、第2期利子支払日以降、1万円単位で一部または全部を換金できます。通常の受取額は、額面金額に経過利子相当額を加え、直前2回分の各利子の税引前相当額の合計に0.79685を掛けた額を差し引いて求めます。

別途の換金手数料は不要ですが、利子相当額の控除はあります。「手数料がない」という表示だけでは比較できません。また、1年の起点は申込日ではなく発行日です。保有者の死亡や、災害救助法の適用対象となる自然災害による被害には、1年以内でも例外があります。

出典:財務省「個人向け国債の中途換金について」

定期預金とは解約条件と保護の仕組みをそろえる

定期預金も、期限前に解約すると約款等に基づく所定利率が適用され、利息が減る場合があります。候補商品の満期、期限前解約利率、解約条件を確認し、国債の換金条件と並べます。具体的な商品を絞る際には、定期預金を期間・金額別に比較する基準も判断材料になります。

定期預金を含む一般預金等は、預金保険制度により1金融機関・預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護対象です。個人向け国債は、国が額面100円につき100円で償還する商品で、元本の保護を考える際の仕組みが異なります。

出典:預金保険機構「預金保険制度の基礎知識」、財務省「個人向け国債商品概要」

利率の変化を受け入れられるかで結論を出す

変動10年が候補になるのは、発行後1年間は使わない資金があり、その後の利率の変化も受け入れられる場合です。一方、1年以内に使う可能性がある資金や、満期までの利率を先に定めたい目的には合いにくくなります。使う時期と受取利息への希望を分けると、固定型や定期預金を選ぶ理由も整理できます。