まとまったお金の運用に元本保証は本当にある?預金・個人向け国債・投資信託の守り方を比較
定期預金、個人向け国債、投資信託・ETF。まとまったお金の運用で「元本保証」を考えるとき、比べる相手はおおむねこの三つです。ただし、三つは守られ方の仕組みがそれぞれ異なり、同じ言葉でひとくくりにすると判断を誤りやすくなります。
相談事例:満期を迎えた預金をどこに置き直すか
ここで取り上げるのは特定の方の話ではなく、相談で繰り返し出てくる内容を組み合わせた類型です。満期を迎えたまとまった預金があり、「元本保証のまま、もう少し利息のつくものはありますか」と聞かれることがあります。続けて「投資信託にも元本保証のものはありますか」「外貨預金も預金だから守られますか」と重ねて聞かれることも少なくありません。
こうした質問には、商品名で答える前に、何から、どこまで守りたいのかを分けて考えるようにしています。
誰が、どこまで元本を守るのかで比べる
定期預金や利息付き普通預金については、金融庁が所管する預金保険制度により、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。当座預金などの決済用預金は全額保護です。一方で、外貨預金、譲渡性預金、仕組預金は、預金という名前が付いていても保護の対象外とされています。
個人向け国債の点では、満期時の元本償還と利子の支払いを国が責任を持って行うと財務省が示しており、購入した金融機関が破綻しても元利金の受け取りは保護されます。変動10年・固定5年・固定3年のいずれも、年率0.05%の最低金利が保証されています。
投資信託は値動きのある株式や債券に投資するため基準価額が変動し、元本保証はありません。ETFも指標への連動を目指す商品であり、株式相場や金利、為替の変動によって価格が下落し、損失が生じることがあります。
| 項目 | 定期預金など | 個人向け国債 | 投資信託・ETF |
|---|---|---|---|
| 元本の保証 | ○ | ○ | × |
| 守る仕組み | 預金保険制度 | 国が元利払いの責任を負う | なし |
| 範囲と注意点 | 1金融機関・1人当たり元本1,000万円と利息等まで。外貨預金・譲渡性預金・仕組預金は対象外 | 最低金利は年率0.05%。中途換金では利子相当額の一部を差し引く | 相場・金利・為替の変動で価格が下落することがある |
出典:金融庁「預金保険制度」、金融庁 用語解説、財務省「知る|個人向け国債」、財務省「個人向け国債を始めてみたい方」、資産運用業協会、野村證券「リスク・手数料等説明ページ」
満期前に使う場合と、いまの利率で比べる
元本が守られる商品についても、満期前にお金が必要になる可能性は別に考えておく必要があります。個人向け国債を中途換金すると、直前の利子相当額に係数0.79685を乗じた額が差し引かれ、保有期間の区分ごとに計算方法が定められています。
利率については、財務省が2026年9月2日に発表した9月募集分の適用利率が、変動10年(第198回債)1.95%、固定5年(第186回債)2.24%、固定3年(第196回債)1.96%です。募集期間は9月3日から30日まで、発行日は10月15日です。
出典:財務省 報道発表、マイナビニュース、財務省 中途換金のよくある質問
結論は、守られる範囲と使う時期を並べてから出す
向き不向きで言えば、預金保険の範囲に金額を収められるかを重視する場合は預金、満期まで使う予定のない資金について国が元利払いを負う形を重視する場合は個人向け国債が、検討の候補に入ります。一方で、値動きを受け入れて増やすことを目的にする場合は、元本保証がない前提で投資信託やETFを比べることになり、その際は投資信託の仕組みと費用の比較基準も判断材料になります。
どれか一つに決める前に、お金を使う時期ごとに分けておくと、三つを並べやすくなります。分け方についてはまとまったお金を用途と期間で分ける配分の基本で整理しています。
相談の最後によく伝えるのは、「元本保証かどうかを聞く前に、誰が、いくらまで、いつまで守ってくれるのかを一行で言えるかを確かめてみてください」という一言です。