etf 投資信託 違い|売買方法・価格・費用から目的に合う選び方を整理
銀行時代、手数料の高い商品を勧めた顧客から、数年後にお礼とともに苦言を受けた経験があります。商品を選ぶ場面では、期待する点だけでなく、負担する費用や取引の条件も並べて考える必要があると受け止めました。ETFと投資信託の比較でも、費用の安さだけを結論にせず、どのように注文し、どの時点で価格を知りたいかまで整理すると、選ぶ理由が明確になります。
費用の安さだけで比べると、買い方の違いが残る
ETFは購入時の手数料や保有中の信託報酬が比較的安い傾向にあります。一方で、投資信託にも購入時手数料が無料のノーロード商品があります。「ETFなら安い」「投資信託には購入時手数料がかかる」という分け方では、個別商品の条件を取りこぼします。
費用は購入時と保有中に分け、候補ごとに確認するのが比較の出発点です。購入時手数料が無料でも、信託報酬まで無料という意味ではありません。長く持つ目的なら保有中の負担に、注文価格を自分で決めたい目的なら売買方法に、それぞれ重みを置いて比較できます。
注文価格・取扱窓口・費用を同じ表に置く
まず、価格を指定したいのか、銀行などの窓口で購入したいのか、費用を抑えたいのか、優先する条件を一つ書き出します。そのうえで、残る条件をどこまで受け入れられるか確認します。下表は、ETFと比較する投資信託について、日本証券業協会「投資の時間」が説明する取引上の違いを整理したものです。
| 比較する軸 | ETF | 投資信託 |
|---|---|---|
| 売買の方法 | 証券会社を通じて取引所で売買 | 取扱金融機関で購入・売却を申し込む |
| 価格と注文 | 市場価格がリアルタイムで変動し、指値・成行で注文できる | 注文時点では売買に使う基準価額が分からない |
| 取扱窓口 | 証券会社 | 証券会社・銀行・郵便局など |
| 購入時の費用 | 比較的安い傾向 | 無料の商品もある |
| 保有中の費用 | 信託報酬は比較的安い傾向 | 個別商品の信託報酬を確認する |
同じ条件でそろえると、窓口の使いやすさと注文価格の自由度は別の比較軸です。銀行で購入することを優先する場合には投資信託が候補になり、取引時間中に価格を指定して注文したい場合にはETFの仕組みが目的に合います。
価格を指定したい場合は、注文の意味を分ける
ETFの指値注文は希望する価格を指定する方法で、成行注文は価格を指定しない方法です。取引時間中に注文できることと、想定した価格で売買できることは分けて考えます。アモーバ・インベストメント・パートナーズは、予期しない価格での約定を避けるため、指値注文の利用を案内しています。
出典:アモーバ・インベストメント・パートナーズ「ETFの売買の仕組み」
注文価格を自分で決めたい場合、価格が分からない段階で申し込む投資信託の買い方は、その目的には合いません。一方、購入先の選択肢を重視する場合は、価格指定の可否よりも取扱窓口を先に確認する整理もできます。費用をさらに比べる際は、信託報酬を保有額に応じた金額へ直す方法も比較の助けになります。
分配金は、受取額と元本の払戻しを区別する
投資信託の分配金を収入として考える場合には、受取額の内訳にも注意が必要です。分配金のうち、分配落ち後の基準価額が受益者の個別元本を下回る部分は、元本払戻金(特別分配金)となり、非課税で扱われます。受取後には、その分だけ個別元本が修正されます。
このため、非課税という言葉だけで有利と判断せず、元本の払戻しに当たる金額かを確認します。分配金を受け取ったという事実と、運用で利益を得たという判断を分けることが、比較の精度につながります。
FPとしては、商品の種類で優劣を付ける前に、希望する買い方と負担できる費用を言葉にすることが、納得できる選択につながると考えます。