「結局どれ?」と、商品比較の相談で聞かれることがあります。ETFのランキングについても、まず見るのは順位を付けた基準です。信託報酬の低さ、売買代金の多さ、分配金利回りの高さでは、比較している内容が異なります。同じ投資対象・連動指標に候補を絞り、長く保有するのか、売買のしやすさを重視するのか、分配金を受け取りたいのかを決めると、順位の使い道が明確になります。

1306は信託報酬と総経費率を分けて読む

まず、TOPIXに連動するNF・TOPIX ETF(1306)を見ます。運用会社の商品情報では、信託報酬率は年率・税込0.0539%、総経費率は年率・税込0.08%と掲載されています。信託報酬率には純資産総額に応じた段階料率があるため、表示された数字と適用条件を一緒に読む必要があります。

信託報酬は、保有中に信託財産から差し引かれる費用です。比較では信託報酬率だけで終えず、総経費率の対象期間も確認します。両者を別々の追加費用として足し合わせる読み方は避けます。

分配については、毎年7月10日が決算日です。配当等収益から経費を控除した額の全額分配を原則としますが、分配できない場合もあり、売買益は分配しない方針です。分配金の実績を見る前に、何を原資として支払う商品なのかを押さえると、受取目的との適合性を考えやすくなります。

1473は同じ指数の候補として表示条件をそろえる

次に、同じTOPIX連動ETFの1473を比較候補に置きます。JPXの銘柄一覧には信託報酬率0.045%が掲載され、1306は0.049%という注記付きの表示です。この二つの数字だけを見て、実際の費用差まで判断しないことが比較の要点です。

1306には運用会社の税込表示もあるため、参照先が違う数字をそのまま並べると条件がずれます。1473も目論見書などで税込・税抜、適用条件、料率の基準日を確かめ、同じ表示にそろえて比較欄へ記入します。投資額と保有期間もそろえると、率の差を負担額の違いとして検討できます。

三つの比較軸を同じ表に並べる

費用の順位を確認したら、売買と分配の条件も横に並べます。次の表は、二つの候補それぞれについて埋める確認欄です。

比較軸 そろえて確認する項目 目的とのつながり
コスト 信託報酬の税区分・料率条件、総経費率の対象期間 継続保有する間の負担を比べる
流動性 同じ期間の売買代金、注文時の気配差と数量 希望する数量を売買しやすいかを見る
分配方針 分配の有無・頻度、決算日・支払基準日、分配条件 受取時期や資金の使い道に合うかを見る

出典:JPX「銘柄一覧」、運用会社「1306商品情報」、同月次レポート。

流動性では、一定期間の売買代金に加え、最良売気配と最良買気配の差であるスプレッド、各価格に並ぶ注文数量であるデプスを確認します。出来高が多いという理由だけでは、注文時に希望する数量をどの価格で売買できそうかまでは判断できません。ETFには設定・交換の仕組みもあり、流通市場の出来高だけでは流動性の全体を捉えきれない場合があります。

出典:JPX「マーケットメイク制度Q&A」、同「ETFの仕組み」。

保有と受取の目的から優先順位を付ける

長く保有する目的なら、料率条件をそろえて費用を比べたうえで、購入時の気配を確認します。売買のしやすさを重視する場合は、継続的な取引状況と注文時の数量に目を向けます。費用の読み方を整理したい場合は、信託報酬を同じ条件で比べる基準も確認に役立ちます。

分配金を使う目的なら、利回りの順位より先に分配方針と受取時期を照合します。過去の分配金利回りは将来の金額を保証せず、分配がないETFもあります。一定額の受取を前提とする場合、過去の高い利回りだけで選ぶ方法は目的に合いません。

出典:JPX「ETF・ETNのよくあるご質問」。

比較で伝えたい一言は、「順位を見る前に、何のために持つかを一つ決める」です。