保有額が一定と仮定すれば、信託報酬の1日分の目安は「保有額×税込年率÷365」で求められます。ただし、この金額が預金口座から毎日引き落とされるわけではありません。信託報酬は投資信託の財産から差し引かれ、公表される基準価額に反映されています。計算の目的は、別払いの金額を調べることではなく、保有中の費用を円単位で把握することです。

計算の目的は、料率を保有額に応じた金額へ直すこと

信託報酬は、ファンドの運用・管理に対する報酬です。年率で表示されるため、率だけでは負担の大きさをつかみにくい場合があります。自分の保有額を掛けると、日々どの程度の費用がかかるか、候補間の違いがいくらになるかを比較できます。

一方で、現在の保有額から求めた年間費用は、将来の確定額ではありません。基準価額は組入資産の時価評価などに応じて変わるため、保有額を固定した試算と、実際の日々の負担は区別して読む必要があります。

出典:野村アセットマネジメント「投資信託のコスト」、資産運用業協会「基準価額と分配金」

入力する条件は、保有額・税込年率・日数でそろえる

まず、投資信託説明書(目論見書)で信託報酬の料率を確認します。次に、計算に使う保有額と期間を決めます。購入時の金額と現在の評価額が異なる場合、現在の負担の目安には現在の評価額を使います。候補同士を比較する場合は、両方に同じ保有額を置きます。

  1. 目論見書で年率と税込表示を確認し、税込料率を取り出します。
  2. 百分率を100で割り、計算用の小数へ直します。年率1.1%なら0.011です。
  3. 保有額にその小数を掛け、365で割って1日分の目安を求めます。
  4. 一定の保有額で期間を比べる場合は、丸める前の1日分に日数を掛けます。

税込料率を使う場合、消費税をさらに上乗せしません。以下では365日で日割りし、途中では端数を丸めず、表示する段階で丸めます。30日分は30日間の試算であり、すべての月に共通する月額ではありません。

出典:ニッセイアセットマネジメント「運用管理費用(信託報酬)って何?」

同じ100万円なら、日額と年額はどう違うか

ここでは計算の仕組みを見るため、保有額100万円が変わらず、税込年率だけが異なる二つの仮想条件を置きます。いずれも信託報酬だけの概算で、投資信託にかかる費用全体を示すものではありません。

保有額100万円を固定した信託報酬の目安
比較項目 税込年率0.55% 税込年率1.1%
1日分 約15.07円 約30.14円
30日分 約452円 約904円
1年分(365日) 5,500円 11,000円

計算方法の出典:野村アセットマネジメント「信託報酬は、いつ引かれますか?」。表は保有額と料率を固定して試算しています。

日額では小さく見える違いも、年額に直すと保有に伴う負担として比較しやすくなります。ただし、基準価額は信託報酬を差し引いた後の値です。表示されている評価額から表の金額をもう一度差し引くと、費用を二重に数えることになります。

概算が向く比較と、固定額では捉えにくい条件

この計算は、同じ金額を保有する前提で料率の差を見たい場合に向いています。長く保有する候補について、日額だけでなく年間の負担を並べる用途にも使えます。料率そのものを比較する観点は、信託報酬の目安を同じ条件で比べる基準で整理しています。

一方で、積立や売却で保有額が変わる場合や、値動きがある期間の実際の負担を知りたい場合には、現在の評価額を固定した計算は向いていません。その場合の考え方は、各日の保有額に応じた日割りの費用を積み上げることです。単純な年額は比較の目安として扱い、実額とは分けます。

比較条件を書き残す一文は、「保有額__円、税込年率__%と__%、保有期間__日をそろえ、信託報酬の目安__円と__円を比べる」です。