結論から言うと、投資の相談先や口座を開く会社を探している段階であれば、最初に見るのは運用成績の広告ではなく、金融庁の登録を受けているかどうかです。次に広告の表示項目、その次に勧誘の言い方を確かめます。ただし、これは比べる候補に残してよいかを判断するための入口であり、商品が目的に合うか、費用に見合うかは別の軸で比べることになります。

相談で出てくる三つの型

「広告で見た会社は信頼できるのでしょうか」と聞かれることがあります。銀行の窓口とFP事務所で延べ1,500件の相談を受けてきた中で、この質問はきっかけの違いによって、次のような型に整理できます。いずれも、よくある相談をもとに組み立てた架空の類型です。

  • 型A:SNSの広告で知った会社から、高い利回りと損をしにくいことを強調した案内を受けた
  • 型B:対面で相談できる仲介業者を紹介されたが、証券会社との違いがわからない
  • 型C:以前の投資で損をした後、「損失を取り戻せる」という連絡が別の会社から来た

入り口は異なりますが、検討した軸は共通しています。登録、広告、勧誘の三点に、仲介業者の場合の確認を加えた四つです。

登録の有無は、一覧と一括検索で照合する

基本の軸は、金融庁から免許・許可・登録等を受けているかどうかです。金融庁は、金融商品取引業者、登録金融機関、金融商品仲介業者などの一覧を区分ごとに公表しています。区分ごとにファイルが分かれている点については、2026年1月30日に運用が始まった「金融事業者一括検索機能」により、業種を横断して名称を検索できるようになっています。

手順としては、広告や資料にある商号を控え、一括検索に入力し、表示された登録区分と登録番号が資料の記載と一致するかを見比べます。あわせて、金融庁が警告書を発出した無登録業者の名称一覧も開きます。この一覧は2010年1月以降の警告分を載せ、2026年8月27日にも更新されていますが、掲載のない業者にも無登録営業の可能性があると注記されています。一覧に名前がないことは、安心の材料にはなりません。

無登録業者は、誇大広告の禁止や顧客資産の分別管理といった投資者保護の体制が確保されていない可能性が高く、無登録での金融商品取引業はそれ自体が違法です。型Aの相談では、この照合の段階で判断の方向がかなり見えてきます。

出典:金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」、同「金融事業者一括検索機能」の運用開始について、同「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」、同「無登録業者との取引は要注意!!」

広告は、表示されている項目で比べる

登録業者の広告には、金融商品取引法第37条により、商号、登録業者である旨と登録番号、手数料等、相場の変動などで損失が生じるおそれといった事項の表示が求められます。一方で、著しく事実に相違する表示や、過去の実績を根拠なく将来の実績のように見せる表示は禁止されています。

同じ条件でそろえると、比べるのは利回りの数字の大きさではなく、表示が求められる項目が載っているかどうかです。利回りだけが大きく書かれ、手数料やリスクの記載が見当たらない場合は、その欠落自体が比較の材料になります。

広告と勧誘を確かめる軸
確認の軸 確かめる場所 広告だけで判断できるか
登録の有無 金融庁の一覧・一括検索 △ 番号は表示されるが照合が別に要る
手数料等の表示 広告・資料の記載 ○ 記載の有無を確かめられる
損失の可能性の表示 広告・資料の記載 ○ 記載の有無を確かめられる
過去実績の見せ方 広告の表現と根拠の説明 △ 根拠は問い合わせが要ることもある
勧誘の言い方 電話・面談・メッセージ × 広告の外で起きるため記録を残す

出典:SMBC日興証券「金融商品取引法第37条(広告等の規制)にかかる留意事項」

勧誘の言い方は、断定の有無で見分ける

金融商品取引法第38条2号は、不確実な事項について断定的判断を提供したり、確実であると誤解させるおそれのあることを告げたりして勧誘する行為を禁止しています。金融庁も、上場や利益を言い切るような断定的な言い方を、詐欺的な投資勧誘の典型として挙げています。

型Cにあたる、被害の回復を名目に別の商品の購入を持ちかける手口も、金融庁が注意を呼びかけている典型例の一つです。以前の損失があると「取り戻せる」という言葉に反応しやすくなるため、話を進める前に、金融庁や証券取引等監視委員会の相談窓口に問い合わせるという選択肢があります。

出典:金融商品取引法第38条(法令集)、金融庁「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」

仲介業者は、所属先とあわせて確かめる

型Bの相談では、仲介業者そのものの登録に加えて、所属する金融商品取引業者等も確認します。現在確認できる範囲の監督指針では、金融商品仲介業者の登録審査について、業務の内容や規模に応じた人員の配置、外務員資格試験の合格者であることのほか、帳簿書類の作成、顧客管理、苦情処理、内部監査などの体制が確かめられるとされています。これらの体制は所属先への委託も認められているため、仲介業者と所属先の双方が一覧に載っているかを照らし合わせておくと、取引の仕組みを把握しやすくなります。取り扱う有価証券の種類も申請書の記載事項であり、面談で扱える商品の範囲を尋ねる手がかりになります。

出典:金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」

結論は、確かめる順番を決めて出す

三つの型に共通する結論の出し方は、登録の照合、広告の表示項目、勧誘の言い方の順に確かめ、どこかで引っかかった時点で先に進まないことです。向き不向きで言えば、この順番は「どの会社が良いか」を決める方法ではなく、「比べる候補に残すか」を決める方法です。

銀行の窓口にいた頃、手数料の高い商品を勧めた顧客から、数年後にお礼と一緒に苦言をもらったことがあります。登録を受けた金融機関での取引であっても、費用が本人の目的に見合っていたかは別の問題でした。候補が残った後は、投資信託の仕組みと購入時・保有中・換金時の費用や、証券会社をコストと商品ラインナップで比べる基準に移って、比較を続けることになります。

比べる準備として、候補ごとに次の一文の空欄を埋めると、確認の抜けが見えやすくなります。「この会社は金融庁の一覧に(    )として載っており、広告には手数料等と損失の可能性が(    )、勧誘では(    )という言い方をされた。」